六番目の小夜子 1992 恩田陸

・タイトル聞いたことあった、何でやろう・・・初めて読んだはずやけど
もしかして中学のときに読んだことあったか?
文庫の表紙が、制服の女子、何か下を指差しとるようにも見える、が話に関係なかった多分
何かタイトルだけでホラーっぽく聞こえるのが不思議

 

・読みやすくて、面白かった。ライトノベル??
読書とか映画とか旅に例えられるけど、しっかり浸かってしまって、終わった後の喪失感、悲しかったなんか
読後感というのかね、終わった・・・って面白い作品はいつも思うけど
星のカービィのゲームのエンディングで泣いたのが、全ての始まりやわ、幼稚園やったかね
あと、大体小説には美人が出てくるけん、その美人と会えなくなる、みたいな失恋のような感じやね

 

・話は、一応ホラーなんか??
いくつか明確なホラー描写はあるけど、しかし全体がホラーなのかと言われると、難しい
人怖ではあるけどね、落ちが
まあ、まず気になるのは、読み始めて、another思い出した
anotherは大学のときに小説とアニメも見たけど、ホラーギャグで、ピタゴラスイッチ的に人が死ぬのと、明らかに一杯死んでいくのに誰も突っ込まない、っていうツッコミ不在の感じが現実感がなくて、コメディとして面白かった
ああいう、とある学校にまつわる怪談、都市伝説、伝統伝承、みたいなのって一つのジャンルなんかね??
あんまり他を知らんけど
村シリーズみたいな、土着信仰でっていうのはようあるけどね
とにかく、学校にまつわる怖い話っていうので、anotherがすぐ思い浮かんだ

 

・ホラー展開もあれば、探偵小説でもあり、学園青春でもあり、いろいろ詰まっとるよね
けど、最後の大学合格までの流れは、学園青春か
ホラーで気になるのは、まず一人の生徒が自分の部屋で女の幽霊の気配がするっていうのが、結局何なのか?
明確に、この幽霊が居ました、とは書かれてないと思ったけどね・・・
学園祭の劇の途中とか、最後の屋上? の上とか、登場人物が幽霊を見た、気がする・・・っていうのはあるが
それも、登場人物の幻覚かもしれんし、そこまで明確に心霊現象があった、とは言っとらんと思ったがね
それに劇の途中で隣に座っていたはずの子が、一瞬消えたように見えた、とか書かれると、それはどうなん?
やっぱりこの子は幽霊なのか? って普通に思うしね
というか普通の人間が、急に消えたりするって書かれるのは、嘘やけん、そこはどうやったか・・・
野犬に不良が襲われるのも、まるで襲わせた、ように書かれるけんね
いや、結局普通の人なんかい、っていうのが探偵小説としてのミスリードってことなのか

 

・後、たまに出てくる「沢木容子」が、さわきようこ、さよこ、でこれが大落ちのサヨコなんか? って思ったけど違った

 

・92年の作品で、高校生が普通に煙草に酒にっていうのが、時代やわ
ちょっと面白いね、30年前はそんなんやったんか・・・
それに高校生が皆仲良すぎんか? 俺の高校は全然仲良くなかったけどね

 

・というか、一応ヒロインが、とある生徒に対して放火をけしかけるような話がある
これもどうなん?
普通に意味不明やった。わざわざ放火するように、話を持って行くのが、よく意味が分からんかった
し、人間性おかしすぎるっていうのもある。
何か、明確な目的もよく分からんかったし
これが幽霊なら、人を狂わせるためにやっている、っていうのは分かるけど、いや結局普通の人なんかい、やわ

 

・主人公と担任の先生が、両方とも「第三者」として生きとるっていうのが、面白かった
主人公は第三者から、火事を通じてヒロインとも仲良く? なって、何となく第三者ではなくなる
このサヨコの伝統に自ら関わろうとする、というのかね
ヒロインのマフラーして、合格発表も二人で行ったらしいことが書かれとるけんね
そして、大落ちの担任の先生・・・
確かに社会人になると分かるけど、区切りというのか、時間の単位としての一年、年度、というのが無くなる
学生のときは年度の単位で人生が進んでいくし、学校は生徒からすると特別な時間
やけん卒業式で泣くしね
しかし、よくよく考えると、先生というは、ただの仕事
年度が替わって生徒が変わるが、仕事は変わらない・・・ずっと代わり映えのない毎日
俺もそうやけど、仕事すると淡々と時間が過ぎていく
そこに熱量がなくなるんよね
能面で同じことを繰り返す感じ、それ自体よくよく考えると怖いが
でも、そこでこの学校の先生達は、その面白味のない職業人生に一つのスパイスとして、「サヨコ」をやっている
黒幕は先生達、っていうのは読んどれば何となく示唆がある
し、この作品の最初と最後は、全く同じ文章になっとる
この文章が、先生"達"のことを言っとると思うんやけどね・・・
大人がこの都市伝説を保つ、失われないように陰で操っとる・・・しかも、淡々と
最初は多少の熱量を持って、詰まらん仕事の中に少しの楽しみ、っていうのでやったんかもしれんが
それを10年20年とやると、このお遊びすら仕事になる、って感じがある
それで今回は、転校生を使うっていう新しい遊びをわざわざやってみた、って感じ
この大人のサイコ感が、大落ちやけん、この作品が大枠でホラー小説と言ってもいい、ようになっとると思う
俺が一番好きなドグラマグラでも、最後に若林教授が、淡々と同じことを繰り返しとるっていうのがあって最高に怖かった
それと同じような感じで、好き。良かった